[ 冗談が通じない ]
幸村が待ってろって言うから、待ってたのに!
この仕打ちは何よ!!
「ちょ…幸村さん、どいて?」
「ふふ。や・だ」
「やだじゃなくて! なに押し倒してんだーー!」
「ん? 気分?」
「今すぐ気分転換してよ!」
「そんな転換するような気分じゃないんだよね。どっちかというとこのまま進みたいというか」
「進まんでいいです! ここ部室! 部長のあなたがたるんだ事してどうするの!」
じりじり迫り来る幸村が体重をかけてくる。
部活が終わってシャワーを浴びたのか、汗臭さなんてさっぱりない。
はだけた胸元。
ええ、前が丸見えです。
しかし、早くシャツのボタンを閉めてください。ネクタイしましょう。そして帰りましょうよ!
これは非常に不味い。大変に不味い。誰か来ないかなー!?
あたしは目を血走らせて辺りを窺う。特に入り口。
赤也でもいい、ジャッカルでもいい、この際だから真田でもいい!
部外者入室で説教しに来いよ! 今すぐ来いよ!
「何考えてるの? まさか他の男のことじゃないだろうね? 俺と居るのにいい度胸だ」
「ぎゃーったのもーーっ! 誰か来てーボスケテー!!」
思考回路が読まれた!
やっぱ噂どおり魔王だ! 立海の魔王だ! 神の子の二つ名は伊達じゃないよ!!
ぶんぶん手を振って彼との距離を牽制するが、全く無理無駄か? もしくは無謀なのか?
いくら好きな人でもイキナリこれは、無理! 嫌いじゃないけど乙女的に無理!
「幸村さん幸村さん、幸村精市さん、お願い、そこどいて!」
「ヒドイな…ったら。誰も捕って食おうなんて思ってないから」
「思ってる! 幸村なら……」
「俺なら? 何だっていうのさ? 言ってご覧よ」
「……ぐ、ウソだウソだ。別の意味で食べるんじゃん」
「ふーん……分かってるなら話が早いよ」
「だーーー! 幸村、これ冗談冗談ジョークジョークよ!」
「冗談は嫌いだ」
にこり、と幸村は天使のように微笑んだ。そこいらの女の子より可愛いスマイルだ。
しかしその瞳は捕食者のきらめき。ギラギラしてます。
そのギャップには萌えません。
ギャップがある人にドキッとしますが、今は無理。
「あの、幸村…? 近くない?」
「部室に誰も来ないよう言ってあるから、ゆっくり愛を育もうじゃないか」
するり、と幸村の手があたしの右足に触れたかと思ったら、持ち上げた!
片足だけ。
パンツ見える!
「ぎゃーーー! なにすんの!?」
バッとスカートを押えるが幸村は起き上がろうとしたあたしの頬にそっとやさしく触れた。
瞬間、どきんとするのは彼に恋する乙女ゆえ。
赤くなった頬に、幸村がニヤとするのが見えた。
「俺のこと好きだろ? 俺ものこと愛してるから、問題ないよ」
「あるに決まってるだろーが!!」
その後、どうなったか推して知るべし。
《終》
リクエスト→セクハラいちゃいちゃな幸村…すいませんイチャイチャ微妙で(汗)
(2008.6.22UP)